弁当を家で食うんじゃねぇ|提出できない提出物と、見えないレッテルの話

日記(日々のこと)

中体連の日、学校では給食がなかった。だから、朝早く起きてお弁当を作った。普段はない機会だからこそ、ちゃんと栄養も考えて、食べやすいように詰めた。

けれど、息子はそれを家で食べていた。

「学校で食べなかったの?」と聞いたけれど、答えはなかった。

一人だけで食べるのが嫌だったのかもしれない。 みんなが会場に移動して、教室には数人しか残っていない中でのお昼ごはん。 もしかしたら、静まり返った教室で、お弁当を広げるのはとても勇気のいることだったのかもしれない。

でも——正直、思ってしまった。

弁当を家で食うんじゃねぇよ。

せっかく作ったのに。 せっかく持たせたのに。 どうして学校で食べられなかったんだろう。

お腹も減っていただろうし、体力だって落ちる。 食べるべきタイミングで食べないことが、体にも心にも良くないのはわかっている。 それでも本人が「食べなかった」理由は、きっともっと複雑なものなんだと思う。

出せない提出物、動かない先生

提出物のことでも、同じようなモヤモヤを感じる。

家でしっかり用意させて、忘れないように声をかけて、カバンにも入れて送り出している。 それなのに——

提出されない。

先生に確認すると、「聞いています」と答えてくれる。 でもそのプリントは、まだカバンの中に入ったままだ。

先生は気にならないのだろうか? クラス全員分の提出物が揃っていなければ、他の先生から「まだですか」と言われないのだろうか? 集金が足りなければ、報告を求められるはずだ。

それとも、「またあの子か」と流されているのか。 何も言わずに、見過ごされているのか。

親としては、やることはやっているつもりだ。 でも、それが形にならない。 本人の手から、先生の手に渡らない。

その“たった数十センチ”が、ものすごく遠い。

そしてその距離を、誰も埋めてくれないことに、ただただ無力感が残る。

見えないレッテルが可能性を奪う

息子が所属している「〇〇部」は、実質的には帰宅部だ。 活動があるわけでもなく、「全員何かの部に所属しなければならない」という建前のための部活。

本人はその環境を受け入れているように見えるけど、 まわりから見たらどうだろう。

「あの子、部活やってないんだよね」 「お昼も食べてなかったし、ちょっと変わってるよね」

そんな言葉が、いつのまにかラベルになる。 そしてそれが、「レッテル」に変わっていく。

一度貼られたレッテルは、簡単には剥がれない。

本人がどう思っていようが関係なく、「そういう子」として扱われてしまう。 そして何より怖いのは、本人がそれを信じてしまうこと。

「自分はそういう子なんだ」 「どうせできないし」 「やったって無駄だし」

そんなふうに、自分で自分の可能性を閉じてしまう未来だけは避けたい。 まだまだ見えていない世界がある。 見ようとしていないだけかもしれない。

進学校に向いていると言われて

病院の先生が言った。

「この子は進学校に向いていると思いますよ」

それを聞いたとき、不思議と腑に落ちた。 集団の中では気を張りすぎてしまう息子だけど、 ひとりで集中できる環境なら、きっと伸びると思った。

だからこそ、ちゃんとした目標を持って、 その目標に向かって努力できる環境に進んでほしい。 静かでも、着実に自分を高められる場所に。

でも現実はうまくいかない。

塾には行きたくないという。 じゃあやめるのかと思えば、それも違うと言う。 正直、親としてはその「中途半端さ」が苦しくなる。

それに、塾の送り迎えだって簡単じゃない。 週に何度も仕事の合間をぬって送り迎えするのは、 体力的にも、時間的にも、限界が近い。

こっちだって必死だ。 でも、本人の本気が見えないと、つい苛立ってしまう。

それでも願うのは、たったひとつ。

自分で自分を決めつけてほしくない。 「できない子」「変わった子」「そういうタイプ」 そんなラベルを、自分自身に貼り付けて生きてほしくない。

それでも、自分らしさを守ってほしい

考えすぎて、モヤモヤして、 つい、頭の中で叫びそうになる。

爆破したい。

言葉にしたって、世界は変わらない。 誰も驚かないし、誰も止めない。 誰も気にしない。

つまり、誰も僕のことなんて注目していない。

だったら、もう好きに生きたっていいじゃないか。 やりたいことをやって、思ったことを言って、 自分の気持ちにウソをつかないで。

きっとそれが、 「自分らしく生きる」ということなんだと思う。

息子にもそうあってほしい。 誰かに決められた「キャラ」や「評価」の中で縮こまらず、 ちゃんと、自分で選んで、自分で進んでほしい。

世界が変わらなくてもいい。 その子の中で、なにかが少しでも動いてくれたら、それで十分。

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